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わかばの風法律事務所 弁護士のBlog

東京都新宿区にある法律事務所

4人の弁護士が、身近で起きた事や感じた事を紹介します

近所で火事が起きたら?

 平成26年正月に、有楽町駅近くの線路沿いから火事が出て、新幹線が遅れました。私も大変迷惑した一人です。

 ところで、近所で火事が起き、皆さんもなんらかの被害を受けたとしたらどうなるかご存じですか。「火事を起こした人に賠償してもらえる」まずはそう考えますよね。ところが、そう簡単にはいかないのです。
 明治32年に「失火ノ責任ニ関スル法律」というのが出来ています、それがまだ有効です(少なくともそう考えられています)。そこでは、「重過失の場合だけ責任を負う」となっています。「重過失とはなんだ」ということになりますが、通常なら過失とされる「軽過失を除く」という話なのです。よく分かりませんね。それも当然でして、結局、個々に判断するしかないのです。例えば、煙草を消さなかったとすると、「多分」重過失と私は思いますが、必ずそうなるかと言われると断言はできません。
 よく分からないということは、結局、話し合いが無理なら、訴訟をやってみないと決着がつかないということになるのです。あと、火事を出した人にお金がなければ、勝訴しても「取れません」ご注意ください。こう書くと「そんなばかな」と思われる人も多いでしょう。でも、上記の法律は木造建築が多く、火事が多い国であったという事情を反映しているわけです。現代では、もう廃止すべき法律かもしれません。
 それでは、「やはり火災保険を掛けておこう」ということにはなりますね。損害保険というジャンルですが、これも意外にも結構な縛りがあります。「万が一に備えて、多額の保険を掛けておいたぞ」と思って請求しても、なんだかんだと保険会社から面倒なことを言われるはずです。それ自体は、まあやむをえないでしょう。実は、いろんな決まりがあります、例えば「焼け太りを許さない」という原則があるのはご存じですか。最近では、意外に知られていないのではないでしょうか。
 言葉でいうと「被保険利益がないものはだめ」「利得禁止の原則」というものがあります。やはりなんのことか分かりませんですね。前者は例えば、親の遺品であって、自分だけに価値のあるものとか、密輸品とかのことです。後者は、例えば、500万くらいしか価値のない古い家屋に、1億円の保険を掛けても、500万しか払わないよ、ということです。こう言われると、なんとなく理解できますね。つまり、時価が原則なのです。もっとも、「特約」があれば、それによって、再調達価格が補償されます。ですから、保険に入る時には、「特約」について話合い、内容を充分確認すべきです。このように、火災保険も、実際には意外に難しいのです、例えば中古の機械類ではどうでしょう。なかなかはっきりしません。やはりケースバイケースです。せめて、保険に入るときに、細かく・具体的に対象をはっきりさせておくべきです。「・・・・一式」となると危ういですよ。
 さらに、保険法13条には「損害の発生・拡大の防止義務」なんていうのもあるのです。まあこれは、「消火には協力しろよ」という意味位で理解しておいてください。しかも、「告知義務違反」なんてのもあるんです。「聞かれたのに、ちゃんと答えなかったので支払わないぞ」という訳です。あと、「延焼を防ぐために、家を一部壊したらどうか」という問題もあります。これは、「消防の活動のために必要な処置」と認められれば、抽象的には保険金が出るはずですが、やはり、保険契約時にちゃんと確認しておかなくてはいけません。
 という訳で、火事の後始末は、意外にも難しい問題なのです。法律相談くらいは必要だと考えておいてください。

                                  小林政秀

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